314 Realism
久しぶりに秀逸なオーディオシステムを試聴する機会に恵まれました。ともすれば所用に囲まれる日常空間では、ただ音楽にのみ向き合う時間はなかなか作り出せなくなっています。最新鋭のサウンドシステムを一人きりでじっくりと、気が済むまで堪能してみると、音楽は小さなスピーカーやイヤホンで聞こえるものとは全く別物でした。ジャズを聴けば目前にトランペッターが現れたかのような、オペラを聴けば目の前で歌手が歌っているかのような、この上ない臨場感でした。そうして向き合ってみると、音楽はiPodで気楽に聴き流せるバックグラウンドではなく、深呼吸で吸収する澄んだ空気のように、すみずみまで神経を巡らせ感じ取ることのできる、目に見えないが何か実体のあるリアルなものでした。
五感のうちの二つを傷めてから(幸い回復しつつありますが)、他の無事な感覚がより強く鋭くなることがあるのかどうか、それとも高品質なオーディオは聴覚を成長させるのか、ともかく目が醒めるような経験でした。
No comments:
Post a Comment