ハードワークを終えてタクシーで帰宅する夜中、ふつうは熱心におしゃべりしたいなどとは思わないものですが、タクシードライバーが話好きで、快活で、かつ話が面白いという好運に恵まれる時は、プロのDJトークを聴くような趣きがあります。先日遭遇したのは、「飛行機嫌い」のドライバーでした。本物の飛行機嫌いにはこれまで出会ったことがなかったので、(自分が飛行機好きであることを伝えた上で)、いったい何がそんなに怖いのか、と夜中に熱心な議論になりました。とりとめのないお喋りの中にこんな面白い話がありました。「一度だけ、まったく緊張せずに安心して乗れたときがありましたよ。珍しいことにパイロットやキャビンアテンダントが大勢客席に乗っていたんです。皆でまとまって移動でもしていたのでしょうか。彼らがフライト中に静かに目を閉じて座っているのを見て、何だ飛行機なんて慌てるものじゃないなと思ったんです。それ以降克服したかのかといえば、また普通の乗客と一緒に乗ってみたらやっぱり緊張するんです」
飛行機に乗るのが日常のプロ達に囲まれると安心できるのなら、このドライバーの特等席はコックピットに違いありません。
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