2013-06-09

332 Oblivion

”侵略戦争後の荒廃した地球に一人残された男、その予期せぬ真実とは”―使い古された感のあるSF映画の設定でありながら、予想を裏切るプロットと完成度の高さ、クールな近未来SFのクオリティを、"Oblivion"で楽しむことができます。

何を置いても、ビジュアルとプロダクションデザインの美しさには驚きました。正直なところSF映画の大半の楽しみはここに懸かっていると個人的には思うところです。そこまでは言わずとも、SF映画のビジュアルに少なくとも想像性と説得力が見られなければ、いずれにせよ荒唐無稽な設定の映画の世界に入ることなどできないでしょう。


監督のJoseph Kosinkiはスタンフォード大学機械工学デザイン科を卒業後、コロンビア大学建築大学院で修士課程を修め、建築からNike、Appleなどの映像クリエイター、そして映画監督へと転じた経歴の持ち主で、アカデミックな背景と先端的な美意識がこの映画にも満ち溢れています。雲の上の近未来モダンな住居から、球形が巧みに活かされた小型のジェット機、スマートフォンをテーブルにしたような司令塔システムまで、美しく、リアリティのある造形が徹底しています。その一方で、地上の景色や動植物の静かで自然な美しさを魅せる場面が交差し、一体どちらがフェイクなのか?と問いかけられるようです。

ビジュアルだけではなく、展開の特殊さも際立っています。舞台設定は大掛かりであるのに、主要な登場人物は僅かで、説明も少ないのです。真実が明かされた後も、物語の多くは観客の想像力に委ねられています。ストーリーは多少強引なところはあるものの、非常に余韻を残すものです。

監督自身も影響を受けているらしく、この映画は「2001年宇宙の旅」、特にHALのイメージに類似した部分があると言われていますが、全体の感じはむしろピクサーによる「WALL-E」を思い出させます。久しぶりにSFらしいSFを満喫しました。

2013-06-01

331 Next Best

3 and a half year passed since I started this little blog. According to the statistics August 2010 was the record month of most visited. And this May 2013 almost topped the record (the gap was only 5 times viewing). It's totally unpredictable and unexpected how many readers visit here every month. It may be just by chance, or it may not. The record might mean something, or nothing. But I just would like to thank you all and hope you would enjoy this blog.

2013-05-30

330 At the Zoo

Polar bear family; A mother and twin babies
動物園は複雑な気持ちにさせられるところです。囲いの中に棲んで人間に見られる動物の生活が楽しいものとは思えませんが、しかし、自然界では近づくこともできない動物を目の当たりにじっくり眺められるのは非常に貴重なありがたい場所です。もちろん現代の動物園は環境に改良を重ね、自然な生態を観察できるよう配慮と工夫を凝らしています。もしかすると「動物は野生の大自然の中で暮らすのが一番幸せ」というのは、先入観でしょうか?

ホッキョクグマの親子が泳いだり遊んだりする様をしばらく眺めていて、ふと周りを見ると人間の親子が大勢訪れて、動物達を見たり、歩いたり遊んだりしていました。一瞬、何だか人間も動物もそれほど違わない、と思えてしまいました。

Going to the zoo causes me mixed feelings. Those animals's life in cage and seen by human sounds no fun, but this is also such a valuable place where we can gaze at animals which we never be allowed to go near in nature. Certainly modern zoo keeps improving environment and carefully taking measures to show these animals in as natural ways as possible. Possibly, might it be too soon to judge that animals are only living happy in wild and natural?

I was watching polar bear family swimming and playing for a while, and then happened to see around. I saw lots of human families were watching animals, walking around and playing. For the slipt second I felt humans and animals had not so much differences.      

2013-05-26

329 Catwalk

My apartment is some stories high from the ground, but a few years ago I saw a cat suddenly appeared and walked through my balcony. Face to face, the cat and I stopped for a moment, and next second the cat just went out. In fact the tiny slit of the door of the stairs might allow something so flexible as a cat to get through without much trouble, so it was possible to track the way it could come over and yet that was astonishing. It seemed my balcony had nothing amusing to a cat so it never ever happened again, but when I remember the moment I always think of a kind of wonder of wildlife.  

2013-05-19

328 Old School

ずいぶん前、「Curly Sue」という米のコメディ映画がありました。その中のワンシーン、洒落たレストランでドレスアップしたハイクラスなお客さん達が食事をしている中、突然誰かの携帯電話が鳴りだし、全員が食事の手を止めて自分の巨大な携帯電話(今から見れば)を取り出し、同時に「Hello?」と呼びかけ、その中の一人が「僕にかかってきた!」と周りに大声で伝える、というものです。

1991年当時それは携帯電話を所有し高級レストランで食事をする、リッチなパワーピープルへのちょっとした風刺をこめられていたのでしょうが、今から思えば、当時の携帯には着信音をカスタマイズすることも、音をバイブにすることもできず、メールはもちろんもしかすると留守電機能さえなかったのでしょう(でなければこのジョークが成り立たないので)。まさに隔世の感があります。

2013年現在、モバイルガジェットの成長と発展はすでに世界中の日常を変えていますが、2035年頃に今を振り返ったなら、きっと「当時はこんなものを使っていたね」ということになるのでしょう。そしてその先はいよいよSFが現実化するのでしょうか?IT技術はいつの時代も半永久的な成長と発展を期待されることになるのでしょう。

2013-05-13

327 Picturesque

なにげない一瞬が「絵になる」ことがあります。通りをたまたま眺めていて、木と車と光と影の佇まいが何ともいえず絶妙に思えたのですが、問題はいかにそれを写真でとらえられるか、そしてもっとも難しいのはいかに自分以外の人にもその一瞬の感覚を伝えられるか、です。

2013-05-06

326 Mid-Century Modern




カリフォルニア・モダンデザイン」の展覧会を観てきました。20世紀半ばの新素材や新技術の開発から発展した大量生産、ヨーロッパのモダンデザインの影響に、カリフォルニアの気候風土も相まって、自然環境に近接し開放的で快適な生活を可能にするモダンデザインとそれを体現する豊かなライフスタイル(ミッド・センチュリー・モダン)が大きく展開した、その軌跡を辿るものです。

ミッド・センチュリー・モダンといえば、合理的で無駄を省いた「モダン」でありながら、無機的で緊張感のあるシャープなモダンではなく、より親しみやすくどことなく愛嬌のある大らかな形や明るい色彩の建築や家具が思い浮かびます。今ではいわゆるお洒落な家具デザインの一カテゴリとしてお馴染みのため、改めての驚きはありません。しかしよく見れば、プラスティックやスチールを使いながらも温かみやユーモアを感じさせ、美しさと機能を両立させているというのは、驚くべき質の高さです。

モダニズムの起源は20世紀初頭のヨーロッパですが、この初期のデザイン運動が、世界の出来事や時代の流れを経て、やがてミッド・センチュリーの西海岸で結実したということです。すなわち、あるデザインがある日自然発生するものではなく、(当然のことながら)デザインを生み出す人々がいて、その人々の活動が時間や空間を越えていくということなのです。そのタイミングや場所は偶然整ったということはあるかもしれません。しかし、個々の人間のアイディアや、ものを生みだす努力や、優れたデザインの力の可能性を改めて認識させられました。

20世紀に起きたことは、21世紀にも起きるでしょうか?今が21世紀の初頭であるなら、21世紀のミッド・センチュリー・デザインはどんなものが見られるのでしょうか?すでに予測されている通り、今後デザインが単なるセンスやオリジナリティやコマーシャル性を越えて、世界の環境や生活の課題とより関連づけられるのであれば、今進展している新しい技術やライフスタイルと「モダン」がどう結び付けられるのか、楽しみで仕方ありません。