2012-02-12

211 Midwinter

どうしても不思議なことに、同郷の友人たちといつも意見が一致するのは、氷点下の気温が毎日続き、道は凍り、雪に閉ざされる北国の冬の方が「あたたかい」気がするという妙な話があります。

別に温かいわけは全くないのですが、雪が降るとあたたかく感じるとか、北国には骨まで寒さが沁みるような木枯らしは吹かないとか、はたまた北国の家の中は常にあたたかいとか、いろいろ言ってみてもどうも説得力はない。ないけれども、説明がつかなくても、「北国の冬はあたたかい」気がするのは本当です。

正しいか、正しくないかは別として、またすべて主観的な体験によるものという前置きをした上で、「あたたかい冬」とは何なのかといえば―

・北国の雪はさらさらの粉雪で、手のひらに載せても温度を感じない羽根のようなもの(本当は氷のように冷たいはずですが)なので、雨や霙のような直接的な冷たさがない。むしろフワフワと周りを舞い、軽やかに積もっていく雪が、張り詰めた冷気を緩和するクッションのような、遮断するカーテンのような存在になる

・空気が澄んでいるせいか、足元だけとか、手先が冷たいといったことがなく、身体に触れる空気はどこも同じ冷たさなので、ひとたび身体がその気温に慣れてしまえば「底冷えする」とか「背筋が震える」という感じはない

・雪が降り、積もると、そして大雪になればなるほど明るくなる。昼の雪はどこを見てもすべて雪雲のような灰白色でほの暗く、夜半の雪は視界はおそろしく悪いのに周囲はほの明るいという微妙な感じ、そして夕方の雪が相対的に一番明るく、日暮れと重なるせいか、空は薄明るいヴァイオレット色か澄んだオレンジ色になる。その明るさに気を取られ、こういうときはなぜか全く寒さを感じない

そして、もっともっと独断を付け加えるならば―

・北国は(というより地方都市は)、人が少ない。そして誰もが氷と雪の張った道をどう歩くかを心得ていて、自分の行きたい方向に無駄なく着実に進んでいく。だから互いに邪魔をしない(邪魔な歩き方をしようものなら、うっかりすると相手は雪に片足を突っ込んだり、滑って転びかねません!)一方都会では夏も冬も人が多く、道に迷う人もいれば道を探す人もいて、真っすぐ歩く人もそうでない人も、押し合いへしあいする人もいる。前を見ていない人も、足元さえ見ていない人も。せめて寒い風が吹く季節くらい足早に真っすぐ行きたい方向へ行きたくても、そうはさせない

だから寒いのでしょうか?

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