都会の観光バス、と聞くと「観光客が乗るつまらないもの」と片づけてしまいがちですが、初めて訪れる都市では非常に役立ちます。1時間ほど地上の景色を楽しみながら街の要所をくまなく巡るだけで、街の構造が分かり、道が分かり、雰囲気が分かり、人の様子が分かり、距離感が分かり、土地勘が付いてきます。そこまで俯瞰できればあとはバスを降りて歩いてみるのは簡単なことです。
クリスマスのコペンハーゲンでも、秋のヘルシンキでもバスに乗って楽しい街巡りを満喫したのですが、一味違ったのはパリの観光バスです。驚いたのはその速さ、です。かなり背の高い2階立てのバスで、2階席はオープンです。それがパリ中心部の混みあう道をすさまじいスピードで駆け抜けるのです。石畳の坂道を急降下していったときには、まるでジェットコースターでした(手すりにつかまらないと振り落とされそうなほどです)。もちろん子供たちは大喜びでしたが。疾走するバスの2階から、セーヌ川や、ノートルダム寺院や、コンコルド広場の夜景や、シャンゼリゼの夕景に目を見張ったものです。しかし、あまり長く風にさらされたせいか、バスを降りたときにはすっかり身体が冷えていました。身震いしながら目の前にあったカフェに駆け込み、「ホットチョコレートはありますか?」と聞くと、店主が「無いわけがないだろう、ついでに甘いものでも食べていったら」と笑いながら答えてくれたのが、楽しい思い出に残っています。
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