2014-11-16

490 The Hundred-Foot Journey

料理、ことにレストランをテーマにした映画が面白いのはよく「目にも楽しい」と言われるように美味しそうな料理が並ぶことが理由かもしれませんが、人によってはそれほど食べ物自体に心動かされるわけでもないとしたら、何が魅力なのでしょう?フレンチ料理とインド料理のレストラン対決を人情豊かに描いた"The Hundred-Foot Journey"を観ながらそれを考えていました。美味しそうなスパイスの数々、出来立てのオムレツ、フレンチのソース、鳩、茸、魚の丸焼き、フレッシュなトマト、色鮮やかなベリーを盛ったひとくちデザートからちょっと奇妙な分子ガストロノミーまで、さまざまな食材が目に飛び込んで来ます。それだけでも目には楽しいのですが、やはり食材を、そしてシェフ達を引き立てるキッチンという空間に入ったような視点が得られるのが料理映画の醍醐味です。誰でも家にあるキッチンですが、プロの料理人達が真剣勝負で立つキッチンは、彼らの出身がインドであろうとフランスであろうと、美味しいものが生み出されるワクワクする気分と凛として研ぎ澄まされた緊張感に満ちています。普通の人間が足を踏み入れることのないプロのキッチンで、食材と料理人が輝く瞬間を捉えた魅力的な映画です。

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