573 The Intern

30代の若き起業家社長のもとに訪れた70歳のシニア・インターン。"The Intern"は穏やかで良質なコメディであり、年も性別も異なる2人の人間のバディ・ムービーとも言えそうです。よくある「お互いのギャップに反発を覚えつつ、次第にそれを乗り越え共感と友情に至る」という分かりやすい展開を踏むのではなく、2人はそれぞれの領域に踏み込むことなく、争うことも理解を求めることもなくそれぞれが自分のやり方で日々を歩みながら、次第にお互いを自分とは異なる（故に貴重な）存在として認め、リスペクトするようになります。ここでは年長者が経験値を振りかざすこともなく、若者が現代の価値観を押し付けることもありません。年長者が余裕と知性で若者を導くこともあれば、若者は瑞々しい精神と行動力で年長者に新たな経験を与えます。映画ではやや理想的すぎる人間関係が描かれますが、実際の人生でもこのようなバディが居てくれたなら、と誰もが思うことでしょう。大半の場面がオフィスで、大半の会話がこの上司と部下のやりとりで占められている、ある意味では単調かつ小さな世界の映画ですが、表情豊かな周りのキャラクターと、気が利いてリアルで笑える脚本が非常に活きています。