Star WarsのGeorge Lucas監督が60年代のティーンエイジャーの群像劇を描いたAmerican Graffitiは青春ものとしてクラシックの貫禄がある傑作です。高校を卒業し大学へと旅立つ前夜のちょっとした冒険の数々ですが、「ロックンロールと大きなアメリカ車と夜のカーレース」がパッチワークのように織りなすMTV的な映像という最初の印象は、それから何年も経って見直した時には見事に一掃されました。この映画が捉えた楽しげで不安定な雰囲気、リアルなドキュメンタリーのようでいて不思議な寓話のようなドラマ、そして終始そのドラマを盛り上げ彩るロックミュージックと「DJウルフマン・ジャック」のラジオ・ショーが突飛な人物たちの冒険を守護天使のように見守る夜の空気の中、まるで生き物のように滑らかに走り続け、並走し、疾走する若者たちの車。それらすべてが当時も今でもきわめて斬新な感覚であった筈です。大きな事件はないものの、無資格で酒を買おうとしたり、カーレースを挑発したり、車を盗まれたり、恋人と喧嘩したり、不良に連れ回されたり、パトカーを破壊したり、DJに会いに行ったり、それぞれ他愛もなく脈絡もない夜遊びで時間をつぶしているものの、その夜こそが一生記憶に残る冒険と成長の物語であり、「落書きだが残す価値のあるもの」—"Graffitti"というタイトルはそれをこの上なく体現しています。
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