2015-04-05

524 The Social Network

facebookの創業を巡る争いと葛藤を描いた映画「Social Network」は、その一見スキャンダラスなテーマとはかけ離れた非常にクールな、純粋に映画としての面白さに満ちた傑作です。現実のfacebookザッカーバーグ氏の実話ではない、あるいは、大筋で彼の非凡さを捉えているとしてもエピソードの数々はフィクションである、という理解があるかないかに関わらず、映画はそんなことを考える間も与えずに観る者を惹き付けます。学生寮で、オフィスで、訴訟の場で、電話で、パーティで、登場人物はひたすら早口で喋り続け、そのプロセスがそのまま映画を形作ります。全編にわたるスタイリッリュな映像、控えめに響くクールなデジタル音楽が、ハーバード大学の秀才達の冴えた頭脳の衝突と不穏な葛藤を強く印象づけます。しかしこの映画は訴訟やサクセスストーリーや荒稼ぎや友情の終焉といったドラマチックな、いかにも映画的な要素を主要なテーマにしてしまうことを巧みに避け、一連の出来事を客観的に淡々と追いかけ、必要以上の熱は込めず、観客の感情を揺さぶろうとすることもなく、その観点には皮肉も批判も賞賛もなく、ただ、この興味深いストーリーを緻密にしかし手際良く理解し結論を出してしまった観察者のような、知的なテンションが強く感じられます。その姿勢はまるで、主人公のザッカーバーグ氏の姿勢そのものです。

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