暑い暑い夏の盛りには、何度見返しても面白く、歌も素晴らしく、そして目にも涼しい”Frozen”がお勧めです。世界中でこれほど沢山の人が観た映画の影響というのは大きく、ウェブにはおそらく何千人、何万人?の"My review on Frozen"が飛び交っているわけです。特に深読みせずとも率直に感動できる良い映画ですが、なるほど見直してみるといろいろ気づくところがあるのも事実です。
以下、ストーリーの要に言及していますので、映画をまだご覧になっていない方は、よろしければ観賞後にお読み下さい。
*****
#1 物語の中盤、ハンスはアナの馬だけが怯えて戻ってきたのを見てアナの身を案じ、救助に向かうことにしたはずでした。が、どう見ても途中から目的はアナの捜索ではなくエルサの捕捉に変わり、城内で意識を戻したエルサがアナを呼ぶように頼んでも、ハンスは「アナはまだ戻らない」と淡白に言い放つだけです。実はこの段階でハンスの行動の怪しさが垣間見えていたのかもしれません。
#2 アナの生命を救い、エルサに真の力を自覚させたのは「真実の愛」すなわちアナによる姉のための自己犠牲であり、その行動が従来のお伽話のようにヒロインに与えられるものではなく自らが選び取る道であることがこの映画の新しい点なのですが、その前に「アナのためなら溶けても良い」と雪だるまのオラフからアナに向けて強い自己犠牲の愛情が向けられているのですが、この愛でも凍った心が溶けないところを見ると、ハッピーエンドに向かって「与えられる愛ではない」というひねりが加えられていることがここで示されているのかもしれません。
#3 幼いエルサに対し力を封じ込めるよう忠告したのはトロールの長ですが、よかれと思ったアドバイスにしても、結局これがすべての災難を招いたのでは…。
#4 実際のところ姉妹の間では常にエルサの方がよりアナを案じ、大事にしているようです。エルサが国土を氷で閉じ込めたのはまったく無意識にしたことで、また氷の城で訪問者を威嚇したのも身を守るためで、本当はそれほど悪いことはしていないように見えます。自分の力が成した災害を知ってからは、ただ国と国民を傷つけないようそこから離れることを願い、アナにも自分から離れるように懇願します。策略によって断罪の危機にさらされても、最後の最後まで心配するのは自分ではなくアナのことだけです。この物語においてエルサは至って愛情深く、比べてまだ未熟なアナがそれを学ぶことを体現する、というお話なのかもしれません。
#5 エンドロールの後、足を切り落とされ、崖から落ちてしまった氷の巨人(マシュマロウ)がほうほうの体で氷の城に戻ってきて、捨てられた王冠を見つけてハッピーになるという微笑ましいシーンがあります。いつのまに足は自分で直したのかな…。
No comments:
Post a Comment