2014-03-25

420 Prunus

桜、梅、桃、杏、アーモンドなどサクラ属の樹の花はよく似ているのですが、近所で毎年春に開花するこの樹は、ずいぶん駆け足に咲く桜だと思っていたところ、よく観れば梅の花でした。桜と比べるといかにも控えめに咲く梅ですが、樹の枝振りのシルエットと調和しながら、新緑の若芽と一緒に咲き出る花の姿は、一切ひけをとらない独自の美しさと凛とした雰囲気があります。この樹が生えているのはビルの細い隙間の、それも自動販売機の裏、という妙な場所で、誰かに大事に育てられている様子もないのに(野良イヌや野良ネコならぬ、野良梅でしょうか)、樹にとっては自分が生えている場所など何ら気になるわけもなく、毎年春を待ちかねるように勢い良く開花する姿は趣深く、魅せられます。

何だか風変わりな桜だと思って見上げていたのは、実は桜よりも美しい梅でした、というのはまるで「醜いアヒルの子」の寓話です。もちろん、アヒルの子と白鳥の雛はご覧の通り(どちらがより可愛らしいかは別として)かなり違うのですが。



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